「インプロ」はお互いの表現を尊重しあい影響しあいながら、協力して先を創りだしていきます。
なので、「インプロ」を通した教育は、通常の表現教育に比べ、
表現力だけでなく、周りとの関わり合いの中で、自分自身の表現力を引き出します。
つまり、日常生活により近いスタンスで表現という分野に接することが出来るのです。
先日、ここ最近連続して行っている小学生を中心としたワークショップで、
相手のアイデアを受け取り、それに自分のアイデアを
加えて表現をするということをやってみました。
通常、特に小学校低学年だと、自分自身のアイデアをみんなに伝えたいと
いう気持ちの方が強く、ともすると相手のアイデアを受け止めずに
自分のアイデアに走りがちなところがあります。
けれども、ここの参加児童は今まで6回のクラスを通して、
随分と他の人のアイデアを楽しみ、自然と受け入れ、それを進展させる力を
身体で覚え、それが身についてきているようです。
相手が自分が何者かということを決め、それを受けて
自分が更にどんなものなのかを語るというゲームでは、
どの児童も相手からもらった言葉をとても嬉しそうに受け止め、発展させていました。
ある小学1年生は「あなたは太陽です」と言われると、「はい、私は太陽です。
私はいつも皆に元気を与えている太陽です」と元気よく答え、
また、ある小学3年生は「あなたはカメラです」と言われると、
「はい、私はカメラです。みんなが楽しくインプロを
やっているところを隠れて撮っている隠しカメラです」
と意味あり気な表情で答えていました。
この児童、実は初めの頃、自分の中に生まれる発想に気づけず、
「分からない」とか否定的な言葉が多かったのですが、
ここ最近では積極的に相手のアイデアに関わってきてい
る姿が随所に見られるようになりました。
終了後、この児童のお母様に伺ったところ、「インプロ」を始めて、
自分に自身が持てるようになったようで、学校での行動
にも積極性が生まれ、様子に変化が見られるとのことでした。
また、相手がとっているポーズに自分が入ることによっ
て、はっきりとした場面を創り上げるというゲームで
も、どの児童も自然と他の人のアイデアを活かしていました。
最初に右手を上に左手を横に伸ばしている児童のポーズに対し、
他の児童がその様子を時計に見立て、腕組みをしてつま先をパタパタ鳴らしながら
その時計の前に立ち、そこに待ち合わせという場面を創り上げました。
彼らは既にあるアイデアを活かすということを、
考えるのではなく、毎回のクラスを通して、身体で覚えてきており、
それが自然と表現という形で生まれてきているのでしょう。
そして、そんな彼らがお互いが影響し合い、先を紡ぎだしている様子には、
どの場面にも物語性を感じさせ、
次に何が生まれるんだろうとここ最近はワクワクしながら観ています